どこでもライオン

This lion is everywhere and nowhere.

動物園でバイト

ドリトル先生を読んだことがある人なら動物園で働くことに憧れはあると思う。ラッキーなことに日本にはたくさん動物園があるし、専門知識がいらない職種も多い。

▶手広いドリトル先生
ドリトル先生の動物園 (岩波少年文庫 25 ドリトル先生物語 5)

というわけで動物園で働いてみた。(結構前だが)。仕事内容は動物の世話ではなく、お土産の販売だが結構楽しかった。

働いている人は優しい人が多くて海外志向だったりすごいサバサバしていたり価値観を変えてくれるような人もいた。せっかくなので2人、紹介してみる。

・やすこさんという人はニュージーランドでのワーキングホリデーから帰ってきたばかりの人で、すごい面白い人だった。その面白さを表現するのは難しいが、海外体験の話がすごい新鮮だったし、表情がいきいきしていて、受け狙いなところがないのが魅力だった。こういう日本人なのにアメリカ人のような人に会うのがほぼ初めてだったこともあり、いい意味でショックを受けた。

・初日の研修の時に出会ったみかさんは、地球を半周してまた海外資金を貯める為に働いているという人だった。わりとお嬢様でアメリカの大学に行くことがほぼ決まっていたのにインドに旅行した時にガンジス川に顔をつけたら何かが目覚めて、大学進学をやめて放浪の旅に出たという異色の経歴の持ち主だ。「親、絶句していたね…」とゲラゲラ笑っていた。

▶︎2人とも少し青山テルマに似ている

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やすこさんとみかこさん以外にも海外志向が強い人が多かった。わりと趣向が似ており、人数も多いので、内部で地味に恋愛が行われており、結婚したりやや仲が悪かったり付き合ったりしていた。

仕事内容はお土産を店頭に並べてお会計し袋詰めをするというもので、暇な時と忙しい時が激しかった。暇な時はだらだらおしゃべりをしているので結構働いている人同士仲がよくなって仕事終わりに飲み会に行ったりしていた。店じまいをした後、お茶を飲んでおやつを食べる時間もあって結構和んだ。

こんな穏やかな人が働いている一方でお客さんは結構イライラしている人が多く、クレームの激しさにしばしばびっくりした。

働いているお土産屋さんの隣は軽食の販売コーナーになっており、そこはやはり時間帯によっては大行列になっていた。

ある時、待ちすぎてイライラした女性がアルバイトの女の子を怒鳴り続け、女の子が泣いてしまうと「てめぇ、泣いてんじゃねーよ! 泣きたいのはうちのおなかをすかせた子供だよ!」と言い放ったことがあった。マネージャーが出てきて適当にお客さんをなだめつつ女の子に「もう代わるから事務所行ってていいよ」と囁いた。その一部始終を見ながらクレームを言った人の太った子供はにやにやしていた。ショックを受けて「あんなことあるんですね」と長く働いている人に言うと、「あるある…アイスクリームを投げつけた人もいた」とのことだった。

なんでこんなに怒っている人が多いんだろう…と考えて理由を列挙してみたところ、動物園は近代社会において稀にみる「ままならない」場なのかなと思った。

まぁ、でも気持ちは分かるけど、働いている人は優しい人が多かったので、動物園の人に当たらないで欲しいな…、と思う。