どこでもライオン

This lion is everywhere and nowhere.

バンクシーって誰?展

アート・テロリストと呼ばれるバンクシーの作品。イギリスを拠点に活動しており、壁にスプレーで絵を描くストリート・アートをメインに展開している。そんなバンクシーの作品が寺田倉庫に来た。

映画のセットのような展覧会と聞いていたが、エレベーターを降りた時からそれは始まっていた。街中にこそこそ作品を描いてしまうバンクシーもすごいと思うが、このセットを作る寺田倉庫も相当すごい。

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この展覧会では、バンクシーの活動した街並み・作品を再現しているコーナーと実際のバンクシー作品コーナーがある。

▶右下のBRAINWASH(洗脳)と何回も書かれた紙が怖い
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こちらの絵は女の子の絵だと思ったら、くしゃみをするおばあさんの絵とのことだった。コロナへの警鐘という解釈がされているらしい。(時代背景を知らないと読み解きづらい絵も有り)。

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治安の悪そうな裏路地感のあるセットが続く。

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上の写真のゴミ箱に載っているねずみはいかにも都会のねずみという感じだ。

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バンクシーの仕事道具の再現もあった。

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風刺にあふれた絵が続く。しかしバンクシーの絵はわりとポップで難解すぎないところが素敵だなと思う。度を越えた深読み前提で作られていないというか。

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大きい象の立体作品もあった。バンクシーは社会全体で貧困などの重要な問題に十分目が向けられていないことから、「問題があっても、誰もその問題について触れようとしない」という意味の慣用句「Elephant in the room」をそのまま体現すべく、色を塗った象を展示したことがあるようだ。実際にアメリカで行われた展示会では生きた象に花柄を書いて展示した為、「象がかわいそうじゃないか」と非難の声もあったそうだが、事前に動物愛護協会に話を通していたためか大きな問題に発展しなかったらしい。バンクシーなのかバンクシーのエージェントなのかどちらか分からないが、結構しっかりしている。

▶メイクに慣れている象だから大丈夫という情報もあり
Banksy's painted elephant is illegal, say officials | Banksy | The Guardian


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バンクシーはある意味「とっぽい」(不良っぽい)アーティストなのかなと思うが、平和に対するストレートなメッセージがとても多い。実際にバンクシーは紛争状況下のパレスチナまで出向いているということで、戦場風の一角もある。

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▶︎エンディング
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展示会を後にしつつ、確かにバンクシーって何者なのだろうと思い、バンクシー監督作品を見た。フィクションとノンフィクションが入り混じったような不思議な内容ながらテンポが良くて面白かった。しかし一般人はどうせアートなんてわからないだろ、みたいな皮肉も込められていた(気がする)。

総じて、バンクシーは「模範的ではない」「まっとうな正義感を持った」人物だと思う。まっとうな正義感が軸になっているが、模範的であることを厭う傾向があるというか。結構そこのバランスは難しいはずで、「コロナへの警鐘」「貧富の差」など問題を掲げると、「バンクシーいいこと言ってるじゃん」と盛り上がる人も増えると思うが、あまり良識派の大人に褒められると作品の価値がなんとなく下がってしまうというジレンマを抱えているのではないかと思う。大衆を小ばかにしているような作品が散見されるのも「俺は媚びませんから!」というメッセージを本音ながら意識的に出している気がする。(ポーズとして突っ張っているのか)。いずれにしても成功していながら、大企業(コカ・コーラやナイキなど)のスポンサーシップを断ったり、アート界の重鎮にも冷たいコメントを残していたりするのは、中途半端な大人のアーティストには出来ない芸当かと思う。

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