どこでもライオン

This lion is everywhere and nowhere.

試験監督

試験官って、ぱっとしない顔をして地味な服で、怖いくらい見た目の印象がない人が多い気がする。(あくまでも「気がする」)。『マトリックス』のエージェント・スミスばりに個々人のアイデンティティがぼかされている。

マトリックス (字幕版)

と言うわけで私もその一員になってみた。

試験官のバイトは座ってるだけかなと思っていたが、受付での身分証とリストの照合や、試験中手を挙げている人の対応や問題用紙の回収など、わりと気の抜けない仕事だった。

試験前から試験終了後までチェック表のようなものを渡され、時間ごとに滞りなく試験が進んでいるかチェックをしないといけなかった。うっかり1項目書き飛ばしてしまい、試験官リーダーの女の人にものすごく呆れた顔をされた。その後、書き飛ばすどころかチェック表の存在をほぼ忘れている人がいて、試験官リーダーが手を振り上げて怒っていた。漫画のような怒り方だと思った。

▶本当にこのくらい表情が豊かだった


試験会場の大学は寒くて乾燥していたが、咳払いも出来ないので実にきつかった。

また、試験前から試験終了まで少しでも顔がゆるんでいるとクレームにつながりそうなので豆腐のように無表情でいるよう努力をした。

試験官同士ほぼ喋らなかったが、チェック表の存在をほぼ忘れて怒られていた人がペンや消しゴムを何回か借りに来た。ウさんという少し太った中国人の女性だった。(少ししゃべって中国人であることを知った)。その人以外全体的に無私の領域に入っているのか個人的な話は一切しなかった。