どこでもライオン

This lion is everywhere and nowhere.

しゃぶしゃぶ屋でバイト

自由が丘にあるしゃぶしゃぶ屋で働いた。『CHICAGO』のキャサリン・ゼタ・ジョーンズのような美人な女将さんがいて、とてもかっこよかったけど、少し怖かった。

その女将さんは、ほとんどにこりともせずベテランも新人も男も女も容赦なく叱っていた。叱り方としては、「何でここにいるんですか。ここにいるべきじゃないでしょう」「こんなので片付けたって言えるんですか。言えないでしょう」のように常に反語を用いていた。大人が大人を叱っているのを見ると気まずさを覚える時があるが、あまりに叱り方が板についていて、もはや何も感じなかった。なんだかAIとかカーナビに叱られているように個人的なこだわりや動物的なものを感じさせない物言いや人柄だからなのかなと後で思った。

仕事内容は配膳だったが、厨房から部屋の前に持っていくだけで、お客さんの席や座敷に持っていくのは、女将さんを含むベテランの人がやっていた。そこまで頻繁に料理が出る訳ではないので結構余裕がある仕事だった。

女将さんはお客さんと喋る時はとても感じのいい笑みを浮かべていたけど、それでも少し怖かった。この女将さんに対して調子に乗ったらやばいと思わせる雰囲気が漂っていた。