考えるライオン

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就職活動は社会の車窓ツアー

就職活動は多くの人が経験している・もしくはするものかと思います。言うまでもなく大抵の人にとってストレスフルなイベントです。

株式会社マイナビによると、2019年卒の就活生の平均エントリー数は20.7社、内定者の平均は27社となっています。

私自身は大して経験していない方だと思うけど、それでも就職活動を通して見た「社会」は結構印象的でした。今回、①会社説明会 ②面接 ③面接官 の3つの視点で振り返ってみようと思います。

① 会社説明会

会社説明会は、会社側が開く自社の説明会です。会社説明会なしで企業にエントリーする場合もあるし、会社説明会だけ出て企業にエントリーしない場合もあります。大体パンフレットやVTR、働く社員による説明で、楽しそうだなと思ったり、大変そうだなと思ったり、興味を持ったり持たなかったりとまちまちの印象を受けたが、時として「あぁ、これは…」と思う時がありました。

【「あぁ、これは…」と思った例】

1)大手メーカー 営業社員の仕事紹介 

営業が強いことで有名な大手メーカーでの30前後の男性社員のお話。男性はどちらかというとさわやかな見た目です。以下のようにお話ししていました。

 僕は、法人営業をしているのですが、最初はなかなか数字がとれませんでした。そんなある時訪れた会社で『ちょっと待っていて』と入り口で待たされました。少しすると待たせた人が戻ってきて『お前にはこれだぁぁ』と言って思いっきり塩をぶつけられました。

 そんな感じで数字は取れないし、営業先は冷たく辛い毎日が続いていました。僕はなかなか数字がとれず同僚や後輩にもバカにされていました。後輩に呼び捨てにされていたこともあります。

 ある時全社総会で成績優秀者が表彰されていました。表彰式も大詰めになった時なぜか僕の名前が呼ばれました。びっくりしつつ壇上に上がると、『数字が出ていないのに頑張っている賞』とのことでした。社長より賞状を受け取りながら全社員からの拍手喝采を受け僕の顔は真っ赤になりました。

この話の落ち(と言っていいかわからないけど)はそのまま仕事を続けてやっと数字が取れるようになって、前よりは楽しい日々を送れるようになった、というものでしたが、聞いていてかなりげんなりしました。

2)中規模 食品メーカーの仕事紹介

このエピソードを語ってくれたのは40前後の女性で、少し硬い表情でお話ししていました。

 日本で流通している商品は++(国の名前)の工場で作っています。視察に行った際劣悪な労働環境、低賃金に心が痛みました。本当に…心が痛みました。

写真付きであまりよくなさそうな労働環境が紹介されていました。別に間違ったことも言ってないし真実だと思うのですがこの事実を本当に伝えたいのが、就活生になのか自社の社員になのか少し謎でした。

3)ITベンチャーの会社紹介

数十人規模のベンチャー企業での会社紹介はアニメ風になっており、社長の顔や社員の顔(写真の切り抜き)が横に動いていました。流行りの音楽とともに歴史や社風が物語られています。クリスマスにサンタやトナカイの格好をしたり和気あいあいとしている写真が次々映し出されるのですが、そのテンションの高いアニメを観てすっかりうすら寒くなりました。その時の会社説明会に参加しているのが4人だけだったこともあり、後からやってきた胸元を開けた社長(40代男性)が一人一人に「君が熱くなれることを教えてよ」と語らせていましたが、4人中3人(私以外)は目を輝かせて夢を語っていて、帰りに駅まで4人で歩く時も「めちゃいい会社だな!」みたいなことを言っていたので響く人には響くプレゼンだったのかと思います。 

② 面接

多くの企業は数回の面接+SPIのような能力検査で採用可否を決定します。『グッド・ウィル・ハンティング』のウィルのように天才であれば面接官に対してかなり大きく出られますが、多くの人はそうも行かないのかなと思います。ただ態度に出さずとも面接官の質問や対応に「やばい会社だな」と思うこともあるので、企業側も見定められる機会ではあると思います。

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち (字幕版)

実際、面接を受けていて「なんだこの質問」と思ったことはあります。
「あなたをサザエさんのキャラクターに例えると誰ですか」
「あなたの好きな色と理由はなんですか」
といったトンチみたいな質問です。

この手の質問はよく出るので回答をしっかり用意している人は多く、明朗に「私が好きな色は青です。海のように無限の可能性を感じるからです」などと面接で答えたりします。それを見て面接官が「ふんふん」と値踏みしているのがなんだかバカバカしかったです。他の就活をしている人に聞くと「あなたを動物に例えると何ですか」「自分を物にたとえるとなんですか?」「弊社は第一志望ですか?」「弊社に落ちたらどうしますか?」みたいなトンチ系からなんとなく重い質問までされているようでした。

基本的にバカバカしさを感じつつも、就活中は特殊なゲームに参加しているような心持ちになり、一生懸命質問に答えていました。企業に求められるような模範的な人間ではないので、自分の中に模範的な人間像を作り、毎回その人間像に問いかけを行わないといけないのが難儀でした。しかも下等な嘘つきのように、模範的な人間像と自分の間に矛盾を見つけて一人で混乱しており、この上なく不器用でした。

最近、某有名営業会社の面接担当の人と仕事で話す機会があり、その人はやはり「あなたを動物に例えるとなんですか」「あなたを色に例えるとなんですか」と言ったトンチ系を多用するようでした。答え方で本質がわかるらしいです。ちょっと心理テストみたいだな。

③面接官 

新卒の面接を行いました。エントリーする側ではなく、される側です。

採用可否を判断するにあたり、1)仕事を続けてくれるか 2)仕事ができるか、がざっくり指標になりますが、なかなか測りづらかったです。

1)仕事を続けてくれるか に関し、測る際に重視されやすいのは一般的に「会社への愛」となります。その為、愛の深さを探る質問項目が用意されます。(「弊社のどういうところが好きですか」「弊社は第一希望ですか」など)。ただ、仕事を続ける理由は会社への愛ゆえでもあるかもしれないが、堅実さやある種の保守性によるものだったりするので、ネチネチと会社への愛だけ無理やり語らせても仕方ないと個人的に思いました。もちろん愛があるからどんな障害も乗り越えられるのがいいかもしれないけど、ごく限られた会社しかそこまで求職者の真の愛を引き出せないのではないかと思います。特にBtoBの会社に関しては求職者の情報や商材に接する機会も限られるし、パンフレットや説明会だけでグイグイ面接者がのめり込むことなんて稀有なのではないでしょうか…。

2)仕事ができるか に関し、今までの実績や受け答えで測られることが多いです。今までの実績から仕事の出来・不出来を予測するのは合理的だと思います。ただし新卒の場合たいした実績がないこともあり、無理矢理ネタ作りのために実績を積む人もいます。正直、堅実に仕事をする人がすべて世界の問題に興味を持っていたりボランティアや特殊な体験をしている訳ではないと思うから、変にとってつけたような経験がなくても問題ない気はします。

上記総合すると、面接で本当のポテンシャルを測るのは難しかったです。正直ほぼ勘やフィーリングで合否が決まってしまう部分もあります。とは言え、結構勘やフィーリングが当たっていたりするのでそれも馬鹿にならないことを考えると、面接で変にトンチや型式的な部分を盛り込むよりも、短期間でも一緒に働いてみるのが素の部分を見られるので良い気はしました。イメージとしてはインターンに近いと思うけど大量に捌けないと思うのでそこは何か策を考えないといけなそう…。

▶︎インターン映画

インターンシップ (吹替版) マイ・インターン(字幕版)

総じて、就職活動は奇妙なゲームのようなものだけど、時として企業や社会の本質が浮かび上がったりします。それは上澄みに過ぎないけど、とらえようによっては就職活動は興味深いツアーになりうるかなと思います。渦中の人が楽しむのは難しいでしょうが、やはり貴重な体験ではあるのかなと思います。