日本を代表するアーティスト、「ゆず」。明るくて前向きな歌詞が多いが、暗い曲はとことん暗く、しかも普段の彼らの「地」を残したまま暗いのが魅力だ。暗いゆずを知らないのはもったいない。もし聴いたことがなければ是非聴いてみてほしい。
せっかくなので自選ゆずの暗い曲ベスト5を発表する。
1位 ねぇ
ゆずの一番暗いアルバム(※個人的な感覚)『トビラ』に入っている曲。このアルバムのジャケットかなにかに映った写真に関し、北川さんは「目が死んでる」と言われたとどこかで読んだ気がするが、このうつろな感じが非常にいい。
希望へと続くはずの薄暗いトンネルをどれだけ歩けば
真実はいつでもたったひとつのはずなのに
迷い立ち止まってしまうんだろう
この歌詞においてゆずは誰も責めずただただうつろだ。まるでミレーの絵のような灰色がかった曲だ。歌詞もいいしメロディーもいいしなぜそこまで取り上げられないのか謎だ。(暗いからかな)。
2位 ジャニス
この曲には特定の人物が描かれている。その人物は自分勝手で傷つきやい。曲は進むにつれて切なくなってくる。
流した涙はすべて飲みほそう
どんな過去があっても関係ないよ
僕だって綺麗な人じゃないさ
ゆずは、たぶんこう言いながら、自分もそう言ってほしかったのかなと少し思う。この曲は『心のままに』のシングルのB面に入っている曲だが、『心のままに』がほぼ自分語りで苦しみを吐露しまくっているので、そうかな、と。
3位 ユーモラス
この曲は、そんなに暗いメロディーではないし、歌詞も前向きだ。正直もっさい感じのする曲で、聞いていると恥ずかしくなる。でも本気で暗くなっている時ってスタイリッシュさよりすぐ近くにある光を手繰り寄せたくなるもので、その光も暗闇の中の光である必要がある。この曲は暗闇の中の光みたいな曲だと思う。
モグラになってしまったら太陽さえも怖くなって
なかなかそこから抜け出せなくなるのさ
ゆずには結構このテイストの曲が多いが、最も刺さるのはこの曲だ。この手の曲は、ちゃんとした「芸」になると途端に説教くさくなると思うのでギリギリなバランスの上で成り立ってる曲なのかなと思う。
4位 ぼやき電車
正直この曲はそんなに刺さっていないが、文句なしに暗い曲かつダークサイドに足を踏み入れた状態で歌われている曲だ。この時ゆずがどういう葛藤を抱えていたのか少し考えてしまう。
目的もわからず時間に追われ
電車はゴトゴトガタガタと
あいつらの高笑いがまとわりつく
しかし今回思ったが、ちゃんと生きると結構バカにされると思う。なので、この曲は「結構バカにしやがって」というだれかへの怒りもあるのかなと邪推した。
5位 大バカ者
この曲は初期のゆずらしくからっとしているが、中身は結構かわいそうというか、いじらしい。
『大バカ者!』とののしられて
それでも人として生きてきたけれど
やっぱり今日は眠っとこう
梅雨前の情景と言い、良い曲なのだが、暗さはすこし足りないので5位にした。シングルB面なので知名度は低そうだが、心に残る曲だと思う。